163.巻二・130:長皇子、皇弟に与る御歌一首
引用は下の本です。
130番歌
訳文
「丹生(にふ)の川の川瀬を、私は渡りたくとも渡れずにいて、心は一途にはやり恋しくてなりません。あなた、さあ通(かよ)って来てください」
書き出し文
「丹生の川 瀬は渡らずて ゆくゆくと 恋(こひ)痛し我が背 いて通ひ来(こ)ね」
長皇子:天武天皇第四皇子、母は大江皇女(天智天皇の皇女)、弓削皇子は同母弟。
この歌は女の立場で詠んだ歌らしい。上二句は恋の堰にさえぎられている状態を暗示したものか。全体に寓意があるかもしれない。
丹生川:吉野川の支流か。
ゆくゆく:「行く行くと」に基づく擬態語で、物の進みはやる意か。
恋痛し:恋が激しく切実である意。
最初読んだとき、皇妹の間違いではと。
歌意が理解できないのですが、どのような寓意か。
というより、長皇子の歌を詠んだ意図が理解できないのです。
単に、女性になって、弟に訪ねて来いと、詠んだ歌なのかな。
では、今日はこの辺で。