159.巻二・119、120、121、120:弓削皇子、紀皇女を思(しの)ふ御歌四首
紀皇女:天武天皇の皇女。穂積皇子の同母妹。弓削皇子の異母妹。
119番歌
訳文
「吉野川の早瀬の流れのように、二人の仲も、ほんのしばらくのあいだも停滞することなくあってくれないものかなあ」
書き出し文
「吉野川 行く瀬の早み しましくも 淀むことなく ありこせぬかも」
思うに任せぬ嘆きを述べた歌。紀皇女は石田王の妻であったらしい。424番歌、425番歌を参照(後日記載予定)
120番歌
訳文
「あの子に恋い焦がれてなんかおらずに、いっそのこと、秋萩の、咲いていはすぐに散ってしまう花であった方がましだ」
書き出し文
「我妹子(わぎもこ)に 恋ひつつあらずは 秋萩の 咲きて散りぬる 花にあらましを」
121番歌
訳文
「夕方になったら潮が満ちて来よう。住吉の浅香の浦で、今のうちに玉藻を刈り取りたいものだ」
書き出し文
「夕(ゆふ)さらば 潮満ち来なむ 住吉の 浅香の浦に 玉藻刈りてな」
潮を人の噂に、玉藻を女にたとえ、一時も早く恋を成就させることを願った歌。類歌として958、1157番歌あるとのこと。
浅香の浦:大阪南部・堺市にかけて浅香の名が残ると。
夕・満潮に対して、朝・浅(潮干)の意をこめた。
122番歌
訳文
「大船が碇泊する港の、そのたゆたいさながらに、濡れて定まらぬ物思いに悩んで痩せこけてしまった。あの子は他人のものなのに」
書き出し文
「大船(おほぶね)の 泊(は)つる泊(とま)りの たゆたひに 物思(ものも)ひ痩せぬ 人の子故に」
以上四首、別々の歌を集めて組み立てたものか。
題詞・構成ともに磐姫皇后の歌(85~88番歌)によく似ている。
前に記載したので、読んでみようかな。
人の子:人妻、ほかに母親の管理する子と見る説もある。
秋萩の写真を載せたいのですが、撮っていないな。
下の本を引用しました。
そろそろ五時かな、今日は、また暑くなるか。
昨日は一日雨で、すこし肌寒く感じ、窓を閉めていました。
では、この辺で。