万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

162.巻二・129:大津皇子の宮の侍石川郎女、大伴宿禰奈麿に贈る歌一首 女郎、字を山田の女郎といふ。

題詞の続き「宿奈麻呂宿麿は大納言兼大将軍卿の第三子そ」

杉本氏の本を引用し、引用した図からブログを記載したいと思います。

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129番歌は、杉本氏も述べているように一番最初の「石川郎女」ですね。

で、杉本氏の記載している四人の石川郎女と関係する人物と歌を以下に簡単に整理します。

第一の人:大津皇子草壁皇子、田主、宿奈麻呂、107~110(ブログに記載の番号:155)、126~128番歌(161)、129番歌(162)

第二の人:久米禅師、96~100番歌(151)

第三の人:藤原宿奈麿、巻二十・4491番歌(ブログ未記載)

第四の人:大伴家の大刀自として、また坂上女郎の母として、さらには高位の女官として、正統に生きた人、巻四・518(未記載)

129番歌

訳文

「大年増のおばあちゃんですのに、これほど恋の淵に沈んで、他愛なくなるものでしょうか。近ごろの私って、まるで小娘同様なんですのよ」

書き出し文

「古(ふ)りにし 嫗(おみな)にしてや かくばかり 恋に沈まむ 手童(たわらは)の如(ごと)」

「一見しおらしげで、そのじつ、積極的に恋を仕掛けている歌です。相手の大伴宿奈麻呂は、前述(ブログ番号161に記載)の田主の弟で、のちに異母妹の坂上朗女の夫となって二人の娘をもうけたのち、あっけなく死んでしまうあの宿奈麻呂です。

宿奈麻呂は、石川郎女とほぼ同年齢である田主の弟ですから、郎女にとっても年下であるはずで、そういえばこの歌には、年上の女が若い男を相手にするとき往々にして見られる、ある種の”口調”があるようです。兄にすげなくされたお返しに弟に狙いをつけるなど、彼女ならいかにも腕まくりしてやりそうなことですから、時期を田主との一件の直後とみてはいかがでしょうか。とすれば、彼女はまだ二〇歳代。「大年増」も「嫗」も、もちろん一流の誇張にほかなりません。この恋がその後どうなったか、宿奈麻呂の返歌がないため、よくわからないのが残念です」と。

引用を終わります。

石川郎女の次の記載は、518番歌と4491番歌の二首です。

どちらもかなり先の記載になります。

では、この辺で。