万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

お知らせ:ブログの記載について

442.として、804・序・805番歌を記載の予定でしたが、都合により、2018年8月11日以降に記載したいと思います。 なお、奈良の画像は、もう一つのブログ「風景夢譚」(五日に一回記載)に貼り付けたいと思います。

441.巻五・802・803:子等を思う歌一首あわせて序と反歌一首(二の二:短歌)

犬養 孝氏の下の本を引用します。 「49 銀も金も玉も」です。 「今日は山上憶良の有名な歌をうたってみましょう。 しろがねも 金(こがね)も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも(巻五ー803 山上憶良) この歌ご存じでしょう。この歌にはこういう序が…

440.巻五・882・883:子等を思う歌一首あわせて序と反歌一首(二の一:短歌は次回記載)

子等の:等は複数 序の訳文 「釈尊が御口ずから説かれるのは、「等しく衆生を思うことは我が子羅睺羅(らごら)を思うのと同じだ」と。まだ説かれるには、「愛執は子に勝るものはない」と。無上の大聖人でさえも、なおかつこのように子への愛着に執(とら)…

439.巻五・800・801:神亀五年七月二十一日 筑前国守山上憶良 上 感情を反(かへ)さしむ歌一首あわせて序、反歌一首

上:奉る、の意。旅人の793番歌に刺戟され、漢詩文と日本挽歌とを漢倭の連作に仕立て奉ったもので、ともに旅人になりきって詠んでいる。 感情を反さしむ歌一首:煩悩にまみれた心を直させる歌。805番歌の左注は、この作まで及ぶ。 序の訳文 「ある人がいて、…

438.巻五・794~799:日本挽歌一首と反歌五首

日本挽歌:日本文による挽歌の意。前の漢詩文に対する称。 794番歌 訳文 「都を遠く離れた君の政庁だからと、この筑紫の国に、鳴く子のようにむりやりついて来て、息も休めず年月もいくらも経たないのに、思いもかけずぐったりと臥してしまわれたので、どう…

437.巻五雑歌・793:太宰帥大伴卿、凶問(きょうもん)に報ふる歌一首

雑歌(ざふか):公的な場で披露されたさまざまな歌の意だが、巻五では挽歌なども含む。これは巻五が山上憶良の歌稿をそのまま主な資料としたことによるらしい。 太宰帥大伴卿:大宰府長官大伴旅人 凶問:凶事の報せ。この頃、都で妹坂上郎女の夫大伴宿奈麻…

436.巻四・786~792:大伴宿禰家持、藤原朝臣久須麻呂(くずまろ)の報へ贈る歌三首、また、家持、藤原朝臣久須麻呂に贈る歌二首、藤原朝臣久須麻呂、来報(こた)ふる歌二首

報へ:歌の形でない働きかけに答えた意か。769番歌も同様か。 藤原朝臣久須麻呂:藤原仲麻呂の次男。家持の女婿になったらしい。父の謀反に連座して殺された。 786番歌 訳文 「春雨は小止みなく降り続くのに、梅がまだ咲かないのは、よほど木が若いからでし…

435.巻四・783・784・785:大伴宿禰家持、娘子に贈る歌三首

娘子:700番歌や714番歌の題詞に見える娘子と同一人物か。 783番歌 訳文 「一昨年のその前までずっと恋いつづけているのに、なぜあなたに逢えないのだろう」 書き下し文 「をととしの 先つ年より 今年まで 恋ふれどなぞも 妹に逢ひかたき」 足掛け四年恋いつ…

434.巻四・782:紀郎女、裏(つつ)める物を友に贈る歌一首 郎女、名を小鹿(をしか)といふ

裏める物:藻に包んだ贈り物。中身は水産物か。 もう一冊の本では、「いわゆる苞(つと)。748番歌注」で、袋を贈るのは、苞といい、物を包んで送るのは、心を中にこめる意。160番歌参照。 郎女:762番歌と同じ脚注であるが、この歌以下、後の増補ゆえの重複…

433.巻四・775~781:大伴宿禰家持、紀郎女に贈る歌一首、紀郎女、家持に報へ贈る歌一首、大伴宿禰家持、さらに紀郎女に贈る歌五首

775番歌 訳文 「鶉(うずら)の鳴く古びた里にいた頃から思いつづけてきたのに、どうしてあなたに逢う機会もないのであろうか」 書き下し文 「鶉鳴く 古りにし里ゆ 思へども 何ぞも妹に 逢ふよしもなき」 鶉鳴く:古るの枕詞。草深い野の荒涼たるさまを介し…

432.巻四・770~774:大伴宿禰家持、久邇の京より坂上大嬢に贈る歌五首

770番歌 訳文 「人目が多いので逢いに行けないだけなのだよ。心までもあなたを離れて忘れてしまったわけではないのだがね」 書き下し文 「人目多み 逢はなくのみぞ 心さへ 妹を忘れて 我が思はなくに」 相手の情愛が薄い、と怨む以下四首の前置きとして、自…

431.巻四・769:大伴宿禰家持、紀郎女に報(こた)へ贈る歌一首

大伴宿禰家持の歌を読む時は下の本を参考にしています。 掲載されている京都・奈良周辺地図、越中・能登周辺地図、大宰府周辺地図、大伴氏関係図などです。 769番歌 訳文 「雨の降る鬱陶しい日なのに一人きりで山近くにいると、ほんとに気が晴れず重苦しいも…

430.巻四・765~768:久邇の京に在りて、寧楽(なら)の宅に留まれる坂上大嬢を思(しの)びて、大伴宿禰家持が作る歌一首ほかに三首

久邇:475番歌参照。家持は当時内舎人(うどねり)であったので、宮仕えのため奈良を離れて久邇京にいた。 寧楽(なら)の宅:坂上の里にあった母の家であろう。 765番歌 訳文 「山一つ隔てていて行けるはずもないのに、いい月夜なのであの人は門の外に立っ…

429.巻四・762・763・764:紀郎女、大伴宿禰家持に贈る歌二首 郎女、名を小鹿(をしか)といふ 大伴宿禰家持が和ふる歌一首

平成三十年西日本豪雨(十二府県)でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。 また、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。 紀郎女:643番歌注参照、家持が最も心を許して恋の遊びをした相手で、家持より年上らしい。 762番歌 訳…

428.巻四・760・761:大伴坂上郎女、竹田の庄(たどころ)より女子(むすめ)大嬢に贈る歌二首

竹田:奈良県橿原市東竹田町、耳成山東北の地で、大伴氏の私領。宇陀郡内とする説もある。 760番歌 訳文 「見わたす限り広がった竹田の原で鳴く鶴のように、絶え間なしにいつもなのだよ。私がお前を恋しく思う気持は」 書き下し文 「うち渡す 竹田の原に 鳴…

427.巻四・756~759:大伴の田村家の大嬢、妹坂上大嬢に贈る歌四首

大伴の:759番歌の左注(後で記載します)、集中の九首は、すべて妹の坂上大嬢に贈ったもの。 756番歌 訳文 「離れた所にいて恋しがるのは苦しいものです。あなたとひっきりなしに逢えるよう、なんとか考えて下さいな」 書き下し文 「外に居て 恋ふれば苦し …

426.巻四・741~755:さらに大伴宿禰家持、坂上大嬢に贈る歌十五首(三の三:751~755番歌:第三群)

第三群:以下五首は、逢って後の恋を主題とする。 第一群の結び745番歌の「朝夕に見む時」は、第三群の伏線をなす。 751番歌 訳文 「逢ってから何日もたってはいないのに、こんなにも気違いじみて恋しく思われるとは・・・」 書き下し文 「相見ては 幾日も経…

425.巻四・741~755:さらに大伴宿禰家持、坂上大嬢に贈る歌十五首(三の二:746~750番歌:第二群)

第二群:以下五首は、第一群のような「夢の逢い」を、現実の物を機縁にして、「現(うつつ)の逢い」に転じながら展開する。 746番歌 訳文 「この世に生まれてこのかた、私はまだ見たことがない。言うに言えないくらい、こんなに見事に縫ってある袋は」 書き…

424.巻四・741~755:さらに大伴宿禰家持、坂上大嬢に贈る歌十五首(三の一:741~745番歌:第一群)

さらに:727番歌からの十四首のやりとりに対するまとめとして据えたことをしめします。470番歌、767番歌、777番歌題詞も同じ。 以下五首ずつ三群に分かれ、群ごとに共通の主題を持ち、さらに第一群と末尾が「遊仙窟」を踏まえる形で照応する、という構造を持…

423.巻四・737~740:同じき大嬢、家持に贈る歌二首 また家持、坂上大嬢に和ふる歌二首

737番歌 訳文 「とやかく人が噂を立てて私たちの間に関を置こうとしても、若狭にある後瀬の山の名のように、せめて後にお逢いしましょうね、あなた」 書き下し文 「かにかくに 人は言ふとも 若狭道の 後瀬の山の 後も逢はむ君」 後瀬の山:福井県小浜市南部…

422.巻四・735・736:同じき坂上大嬢、家持に贈る歌一首 また、家持、坂上大嬢に和ふる歌一首

735番歌 訳文 「春日山に霞がたなびき、ぼうっと月が照っている夜に、私の心もそのように晴れやらず、独り寝することになるのでしょうか」 書き下し文 「春日山 霞たなびき 心ぐく 照れる月夜(つくよ)に ひとりかも寝む」 723番歌の「ひとり寝む」を承けて…

421.巻四・729~734:大伴坂上大嬢、大伴宿禰家持に贈る歌三首、また、大伴宿禰家持が和(こた)ふる歌三首

また、:740番歌に至るやりとりで、家持の歌には「また」、大嬢の歌には「同じき」を冠しているが、これは家持の立場でまとめられていることを示します。 729番歌 訳文 「あなたが玉なら手に巻きつけてけっして離すまいものを、生身の人なので手に巻くことも…

420.巻四・727・728:大伴宿禰家持、坂上家の大嬢に贈る歌二首 離絶すること数年、また会ひ相聞往来す

離絶:なぜはなれていたか不明 また会ひ:天平九(737)年ころのことか 相聞往来:たがいに消息を通じあう意 727番歌 訳文 「忘れ草を着物の下紐にそっとつけて、忘れようとはしてみたが、とんでもないろくでなしの草だ、忘れ草とは名ばかりであったわい」 …