万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

437.巻五雑歌・793:太宰帥大伴卿、凶問(きょうもん)に報ふる歌一首

雑歌(ざふか):公的な場で披露されたさまざまな歌の意だが、巻五では挽歌なども含む。これは巻五が山上憶良の歌稿をそのまま主な資料としたことによるらしい。

太宰帥大伴卿:大宰府長官大伴旅人

凶問:凶事の報せ。この頃、都で妹坂上郎女の夫大伴宿奈麻呂がしんだらしい。

(題詞の後につづく文章の訳文)

「不幸が重なり、凶報が続きます。ずっと崩心の悲しみに沈み、独り断腸の涙を流しています。ただただ、お二人のこの上ないお力添えによって、いくばくもない余命をようやく繋ぎ留めているばかりです。筆では言いたいことも十分尽くせないのは、昔も今も人が、一様に嘆かわしく思うところです」

文章の書き下し文は省略します。

793番歌

訳文

「世の中とは空しいものだと思い知るにつけ、さらに、一層新たな悲しみがこみあげてきました」

書き下し文

「世間(よのなか)は 空しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり」

神亀五年六月二十三日

(この後に長い文章が続きますが、訳文も書き下し文も省略します。読んでいただきたいのですが)

倭歌に漢文(引用した本では書き下し文)を併せた最初の作で、形式・内容ともに萬葉に新風を送り込んだ歌。

世間(よのなか)は 空しきもの:仏教語「世間虚仮」の翻案。「空し」は萬葉最初の例。

悲しかりけり:「けり」は今そのことに気づいたことを表す。沈痛な悲しみをかみしめて「悲しかりけり」と結ぶのは、集中この一例のみ。「悲しき」「悲しも」などと結ぶのが萬葉の慣例。

神亀五年:728年。書簡の日付。歌は都の両君に送られると同時に、おそらくこの日に行われた、亡妻の供養の席上、筑前国山上憶良にも披露されたらしい。

引用した本です。

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2008年の春日大社の画像を貼り付けます。

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次回の記載に、続きを貼り付けたいと思います。

五時十二分です、今日はこの辺で。

今日の最高気温、予報では22℃とか、もう少し陽の光が庭に欲しい、植物の生育がいまいち芳しくないです。