191.館二・199、200、201:高市皇子尊の城上の殯宮の時に、柿本朝臣人麻呂が作る歌一首あわせて短歌
199番歌
訳文
「こころにかけて思うのも憚り多いことだ、ましてや口にかけて申すのもただ恐れ多い、明日香の真神の野原に天上の御殿を畏くもお定めになって、今は神として岩戸にお隠れ遊ばしておられるわが天皇が、お治めになる北の国美濃の真木立ち茂る不破山を越えて、和射見が原の行宮に神々しくもお出ましになって、天下を治め国中をお鎮めになろうとして、東の国国の軍勢を召し集められて、荒れ狂う者どもを鎮めよ、従わぬ国を治めよと、皇子であられるが故にお任せになったので、皇子は尊い御身に太刀を佩かれ、尊い御手に弓をかざして軍勢を統率されたが、その軍勢・・・長いので略します・・・大空を仰ぎ見るように振り仰ぎながら、深く心にかけてお偲びしてゆこう。恐れ多いことではあるが」
書き出し文も省略します。
短歌二首
200番歌
訳文
「天上を治めに上がってしまわれた皇子ゆえに、月日のたつのも知らず、われらはひたすらお慕い申し上げている」
書き出し文
「ひさかたの 天知らしぬる 君故に 日月も知らず 恋ひわたるかも」
201番歌
訳文
「埴安の池、堤に囲まれた流れ口もないその隠り沼のように、行く先の身の処し方もわからなくて、皇子の舎人はただ途方に暮れている」
殯宮が終わると舎人は解任される習いであった。
下の本を引用しました。
長歌あまりにも長かったので、省略しました。
では、この辺で。