411.巻四・707・708:粟田女娘子(あはたのめをとめ)、大伴宿禰家持に贈る歌二首
粟田女娘子:伝未詳、機智に富む歌柄は遊行女婦を思わせる。
707番歌
訳文
「胸の思いを晴らす手だてもわかないままに、片垸(かたもい)ならぬ「片思」のどん底で、私は恋する人として沈んでいます」
書き下し文
「思ひ遣る すべの知らねば 片垸(かたもい)の 底にぞ我れは 恋ひ成りにける」片垸の中(うち)に注す
「片思い」にかけて、歌の脚注にあるように、片垸(かたもい)の底に記して贈った歌。遊びの気分が濃い。
思い遣る:思いをどこかへ退けやる。
片垸:「もひ」は水飲み用の浅い埦。片は蓋無しの意。
恋ひ成りにける:恋するようになった、意。
708番歌
訳文
「もう一度お逢いするてだてはないものでしょうか。お逢いできたら今度は、あなたを私の着物の袖に大切につなぎとめておきましょう」
書き下し文
「またも逢はむ よしもあらぬか 白栲の 我が衣手に いはひ留めむ」
着物の袖に相手の名を記して、この歌とともに贈ったのかもしれない。
あらぬか:「ぬか」は願望を表す。
白栲の:「衣手」の枕詞。
いはひ留めむ:「いはふ」は潔斎して神を祭る意と、大切にかしずく意とを合せ示す。
引用した本です。
昨年(2017年)の6月23日に万葉集を読み始めて、今日が365日目で、708首目です。
一日平均1.93首読んできたことになります。
明日から二年目に入ります。
この一年、拙いブログにお付き合いいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
では、今日はこの辺で。