万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

397.巻四・672・673・674:安倍朝臣虫麻呂が歌一首と大伴坂上郎女が歌二首

672番歌

訳文

「しつたまきのように物の数でもない私だが、こんなつたない身で、どうしてこうもせつなくあなたを恋いつづけるのであろうか」

書き下し文

「しつたまき 数にもあらぬ 命もて 何かここだく 我が恋ひわたる」

坂上郎女に贈った歌。親しい男女の間では、男がわざと卑下し、女が優越の立場に立つやりとりがしばしば見られる。

しつたまき:粗末なものの意で、「数にもあらぬ」の枕詞。「しつ」は外来の綾や錦に対してわが国固有の粗末な布。「たまき」は手首の飾りで、上等なものは玉製や金属製。

命:ここでは身の意。

673番歌

訳文

「まそ鏡を磨くようにとぎすまし、はりつめた心をゆるめてあなたに靡(なび)いたら、後で愚痴を言っても取り返しがつくものですか」

書き下し文

「まそ鏡 磨きし心を ゆるしてば 後に言ふとも 験あらめかも」

次歌とともに虫麻呂に答える歌。「しつたみき」に対して、貴重な調度品である「まそ鏡」に寄せている。

674番歌

訳文

「玉を揃えて緒に通し、こちらとあちらの端を結んで輪にするように、今も後々までも気持は変わらないとおっしゃいますが、口車に乗って逢ってしまった後ではきっと後悔するものだと聞いていますよ」

書き下し文

「真玉つく をちこち兼ねて 言は言へど 逢ひて後こそ 悔にはありといへ」

前歌に続いて立派な装身具「真玉」に寄せた歌。

真玉つく:をちこちの枕詞。一組の玉をつける緒の意でかかる。

をちこち兼ねて:対立する両端を包みこんで一様に、の意。緒の両端結び合わせること。

引用した本です。

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今日も夏日の予報ですが、最高気温が昨日と同じくらいで、湿度が高めとか。

2018年6月3日に庭で咲くジャーマンアイリスを撮りましたので、貼り付けます。

では、今日はこの辺で。

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