万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

194.巻二・204、205、206:弓削皇子の薨ぜし時に、置始東人が作る歌一首あわせて短歌

弓削皇子:文武三(699)年7月21日没

置始東人:文武朝の歌人弓削皇子に仕えた舎人か

204番歌

訳文

「あまねく天下を支配せられるわが主君、高く光り輝く天皇の皇子は、天上の御殿に神々しくも神として鎮まりいますので、そのことをばただただ恐れ畏み、昼は日ねもす、夜は夜もすがら、伏したり座ったりして悲しみ嘆くけれども、思いはつきず満ち足りることがない」

書き出し文

「やすみしし 我が大君 高光る 日の御子 ひさかたの 天つ宮に 神ながら 神といませば そこをしも あやに畏み 昼はも 日のことごと 夜はも 夜のことごと 伏し居嘆けど 飽き足らぬかも」

額田王の挽歌系統の、伝統の型を踏む歌

反歌一首

205番歌

訳文

「わが皇子は神であらせられるので、天雲が幾重にも重なるその奥にお隠れになってしまった」

書き出し文

「大君は 神にしませば 天雲の 五百重(いほへ)が下に 隠りたまひぬ」

また、短歌一首

206番歌

訳文

「楽浪(さきなみ)の志賀の浜辺にさざ波が絶え間なくうち寄せるように、わが皇子は、しきりに「いつまでも永らえたい」と思いつづけておられたのだが・・・」

書き出し文

「楽浪の 志賀さざれ波 しくしくに 常にと君が 思ほせりける」

「また」:東人が前の歌とは別に詠んだ歌、の意

引用した本です。

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今朝の室温は12℃です、体がまだ寒さに慣れていません。

では、この辺で。