万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

152.巻二・101、102:大伴宿禰、巨勢郎女を娉(つまど)ふ時の歌と巨勢郎女、報へ贈る歌

大伴宿禰大伴安麻呂壬申の乱の天武方の功臣)、旅人や坂上郎女(石川郎女との間の子:151.参照)の父。家持の祖父。和同七(714)年没。

巨勢郎女:近江朝の大納言巨勢臣人(壬申の乱に天智方で戦い、乱後、流された)の娘。安麻呂との間に宿奈麻呂、田主、旅人を生む。大伴坂上郎女と宿奈麻呂は異母兄弟の夫婦。

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101番歌

訳文

「実のならぬ木には恐ろしい神が依り憑いていると言いますよ。実のならぬ木にはどの木にも」

書き出し文

「玉葛(たまかづら) 実ならぬ木には ちはやぶる 神ぞつくといふ ならぬ木ごとに」

実のならぬ木を靡(なび)こうとしない女にたとえ、そんな女は恐ろしい神にとりつかれた、人げないものに見られるよ、とおどして相手を寄せようとした歌。木に実がならないのは邪神がついているせいだとする民間信仰に基づく。

102番歌

訳文

「玉葛で花だけ咲いて、実のならない・・・誠意のない・・・のは、どなた様の恋のことでしょう。私はひたすら恋い慕うておりますのに」

書き出し文

「玉葛 花のみ咲きて ならずあるは 誰(た)が恋にあらめ 我は恋ひ思ふを」

玉葛:「実」の枕詞。玉は美称。

ちはやぶる:荒々しい

訳文と書き出し文だけで終わります。

参考にした本です。

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では、また。