万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

446.巻五・813・814:十一月八日 還使の大監(だいげん)に附く 謹通 尊門 記室

大監(だいげん):大宰府の訴訟事務を掌る官。大伴宿禰百代らしい。

尊門:他人への尊称。

記室:書記。相手を直接ささず、その書記に宛てた形で相手を敬う。「侍史」の類。

筑前の国怡土群(いとぐん)深江村子負の原の、海を目の前にした丘の上に二つの石がある。

大きいのは高さ一尺二寸六分、回り一尺八寸六分、重さ十八斤五両、小さいのは高さ一尺一寸、回り一尺八寸、重さ十六斤十両

どちらも楕円形で、まるで鶏の卵のようだ。

その美しく立派なことは口ではとても言えない。

いわゆる径石の璧(たま)とはこれをいうのであろう<或いは「この二つの石はもと肥前の国彼杵群平敷(そのきぐんひらしき)にあったもので、占いに顕われて取り寄せたものだ」とも伝える。>

石は深江の駅家を去ること二十里ほどの道のほとりにある。

それで、公私の往来に馬から下りて拝まない者はない。

古老が言い伝えるには、「昔、神功皇后新羅を討たれた時に、この二つの石を御袖の中に挟んで御心の鎮めとなさった<本当は御裳の中なのだ。>

こういうわけで道行く人々がこの石を拝むのだ。」と言う。

そこで作った歌」

813番歌

訳文

「口に出して申し上げるのはむしょうに恐れ多い。

が、足日女神功皇后の命(みこと)が、韓の国を平らげて御心を落ちつけたいとお思いになって、おごそかにお取りになり斎(いつ)き祭られた玉のような二つの石を、この世の人にお示しになって、いついつまでもその霊験のあらたかさを語り継ぐようにと、深江の里の海のほとりの、ここ子負の原に御自身の手でお置きになって以来、神として神々しく鎮まっておいでになる、この霊妙な御魂の石は今も眼前にあってまことに尊い

書き下し文

「かけまく あやに畏し 足日女(たらしひめ) 神の命 韓国を 向け平らげて 御心を 鎮めたまふと い取らして 斎(いは)ひたまひし 真玉なす 二つ石を 世の人に 示したまひて 万代に 言ひ継ぐがねと 海の底 沖つ深江の 海上(うみなか)の 子負の原に 御手づから 置かしたなひて 神(かむ)ながら 神さびいます 奇(く)し御魂 今のをつつに 貴きろかむ」

建部牛麻呂の話を歌にしたので記紀の伝えと違うところがある。

814番歌

訳文

「天地ともに永く久しく語り継げとて、この不思議な霊石を、ここに据えて置かれたらしい」

書き下し文

「天地の ともに久しく 言ひ継げと この奇し御魂 敷かしけらしも」

右の事、伝へ言ふは、那珂の郡伊知の郷蓑島の人建部牛麻呂なり。

長谷寺の画像を貼り付けます。

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今朝は雨です。今日も一日雨の予報。同じ天気が続く傾向の年かな。

では、今日はこの辺で。