万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

177.巻二・153:大后の御歌一首

153番歌

訳文

「近江の海を、沖辺はるかに漕ぎ来る船よ、岸辺に沿うて漕ぎくる船よ、沖の櫂(かい)やたらに撥(は)ねるな、岸の櫂もやたらに撥ねるな。わが夫(つま)の思いの籠る鳥、夫の御魂の鳥が驚いて飛び立ってしまうから」

書き出し文

「鯨魚(いさな)取り 近江(あふみ)(淡海:あふみ)の海を 沖放(さ)けて 漕ぎ来る船 辺付(へつ)きて 漕ぎ来る船 沖つ櫂 いたくな撥ねそ 辺つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の 夫の 思ふ鳥立つ

湖に遊ぶ天皇遺愛の鳥を、夫の言魂の象徴、つまり夫そのものと見て悲しみを述べた歌。

鯨魚取り:「海」の枕詞

沖放けて漕ぎ来る船:「漕ぎ来る」は船の漕ぎ進むさまを作者の意識に引き付けて言ったもの 沖と辺は対で、すべての船を示す。

櫂:船を漕ぐ具 大型の船に固定して用いる「かぢ」にたいして小型用。

若草の:枕詞、夫を新鮮な若草に譬えた。普通妻にかかる。

引用した本です。

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上の本では「近江」、下の本では「淡海」どちらだろう、どちらも正しいのか。万葉仮名を記載している下の本かな。

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では、今日はこの辺で。

室温は18℃、すこし肌寒い感じです。

秋の深まりに、体が慣れていないようです。