375.巻四・611・612:大伴宿禰家持が和ふる歌二首
和ふる歌二首:609~610番歌に答える形をとったもの。
611番歌
訳文
「あなたが遠くへ行かれた今となっては、もう逢える機会はなかろうと思うせいか、私の胸はこんなに重苦しく閉ざされて晴ればれとしないことで・・・・・」
書き出し文
「今さらに 妹に逢はめやと 思へかも ここだ我が胸 いぶせくあるらむ」
類想歌540番歌。
いぶせく:いぶせしは、うっとうしい心的状態を表す。家持の好んで用いた語。
612番歌
訳文
「なまじ言葉などかけるよりも黙っておればよかった。なんだって逢いそめたりしたのだろう。どのみち思いの遂げられないさだめであったのに」
類歌2899番歌。750番歌の家持自身の歌にも似ている。
引用した本です。
今朝は晴れで天気は良いのですが、肌寒く一時ストーブを焚きました。
では、今日はこの辺で。
なお、次回の記載は5月15日を予定しています。