281.巻三・385・386・387:仙柘枝(やまびめつみのえ)が歌三首
仙柘枝:吉野の漁夫味稲(うましね)が谷川で拾った山桑の枝が仙女と化し、その仙女と結婚した話が、「懐風藻」その他にある。その柘枝仙媛(つみのえやまひめ)に関する歌。以下三首は、宴席で歌われたものらしい。
385番歌
訳文
「吉志美が岳は険しくて草にすがって登るけれど、うっかりその手を離したはずみに、あわてて妹の手を握る」
書き出し文
「霰降り 吉志美が岳を さがしみと 草取りはなち 妹が手を取る」
民謡を借りながら、漁夫味稲の立場に立って仙女への気持ちを述べたもの。
386番歌
訳文
「今宵、もし仙女の化した柘の枝が流れて来たら、梁は仕掛けていないので、そのまま取り逃がしてしまうことだろうか」
書き出し文
「この夕 柘のさ枝の 流れ来ば 梁は打たずて 取らずかもあらむ」
右↑の一首(以下に作者に関する注記があるべきところだが、脱落したものか)
古い伝説上の事件が今ここに再現されたと仮定して詠んだ歌。
387番歌
訳文
「昔、この川辺で梁を仕掛けたあの味稲がいなかったら、ひょっとして今もここにあるのかもしれないな、ああその柘の枝よ」
書き出し文
「いにしへに 梁打つ人の なかりせば ここにもあらまし 柘の枝はも」
右↑の一首は、若宮年魚麻呂(わかみやのあゆまろ)が作。
引用した本です。
今朝の積雪3㎝ほど、朝食後に雪かきをしました。
今日はこの辺で。