222. 巻三・282:春日蔵首老(かすがくらびとおゆ)が歌一首
春日蔵首老(かすがくらびとおゆ):もとは僧、弁基。大宝元(701)年勅により還俗。
282番歌
訳文
「ここはまだ磐余の手前だ。この分では泊瀬(はつせ)山をいつ越えることができようか。はや夜は更けてしまったというのに」
書き下し文
「つのさはふ 磐余も過ぎず 泊瀬山 いつかも越えむ 夜は更けにつつ」
泊瀬は恐ろしい異郷と考えられていた。その山を夜中に越える旅の不安を詠んだ歌。
引用した本です。
つのさはふ:「磐余」の枕詞。
磐余:いわれ、桜井市池之内・榛原市池尻のあたり。
この東方約7キロで泊瀬に入る。
(引用していて、土地勘がないので、地図を見ても初瀬(泊瀬)川、山があるのですが、この東方のこのがどちらなのだろう?百済大寺跡近くに吉備池があり、その近くに磐余の地名があり、さらに磐余若桜神社があるのでこのあたりかな)。
泊瀬山:「籠り処」といられた桜井市初瀬一帯の山。45番歌参照のこと(泊瀬:奈良県桜井市初瀬とある)。
磐余の池:桜井市池之内から「磐余の池」と思われる遺構が発見されたというニュースが2011年12月に流れた。やはり現地に立ってみないと。
詳しくは下の本を参照してください。
なお、下の本では、集中に磐余を詠んだ歌は五首あるが、282番歌以外はすべて挽歌であるという。そして、磐余の池を詠んだ歌は416番歌の一首のみとのこと。
考古学的に新たな知見が加わり、所在も明らかになるのでしょう。
昨日今冬季二度目の積雪がありましたが、昼過ぎに消える。
では、この辺で。