71.自然を詠んだ歌(5)月
今年(2013年)の中秋の名月が満月と重なったこと、そしてこの後重なるのは八年後と知り、月が万葉集に何首詠まれているのかなと思っていました。
数少ない本の一つには二百首近いとあり、二百四首と紹介しているサイトもありました。
また、子供のころは「お月見」をしていたなと懐かしく思い出していました。
そして、子供が小さいころは、やはり「お月見」をしていましたね。
お花見とならぶ大きな楽しみの一つです。
さらに、お月見には、旧暦の八月十五日の十五夜と同じく旧暦の九月十三日の十三夜の二つがあることを意識したのはごく最近です。
なお、お月見の行事は、愛でて楽しむだけでなく、収穫の感謝を捧げる神聖な儀式でもあったようです。
十五夜に「芋名月」との別名あり、薄は、月の神様の依代である稲穂の代わりとのこと。
今(2013)年の新暦10月17日が十三夜にあたります。
そして、小望月、十六夜、立待月、居待月、臥待月、待宵、寝待月、更待月、中秋の名月、栗待月、豆名月など月の別称は多いですね。
2013年9月23日に庭から撮影:日の出と秋分の臥待月
2013年9月23日に庭から撮影:秋分の臥待月
2013年9月28日庭から撮影(下り月・有明月)
万葉集にかかわる月の表現は、詠まれている歌も多いことから月、月夜、朝月夜、暮月夜、暁月夜、夕月夜、若月(三日月)、望月(満月)、居待月、月読、月人、月の船、月読荘子など多彩です。
中でも月の船が好きですね。
巻7・1068の歌です。
私のHP「BIVALVES」(左のリンク)の「万葉集の貝」の部屋の「万葉集の貝への思い」の棚にありますので、読んでいただけると嬉しいです。
巻7・1068の歌は、雑歌です。
天を詠める
「天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ」
右の一首は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ。
詠天
「天海丹 雲之波立 月船 星之林丹 榜隠所見 」
右一首、柿本朝臣人麿乃謌集出
(天上の海には雲の波が立ち月の船が星の林漕ぎ隠れていくのが見える)
(大空の海に雲の波が立って、月の船が、きらめく星の林の中に漕ぎ隠れてゆく)
(果てしなく広がる天の海に、雲の白波が立ち、その海を月の船が漕ぎ渡って、星の林に隠れて行くのが見える)
今年の十三夜は晴れるであろうか。
八年後の中秋の名月も元気にいて、愛でてみたいですね。
でも、十三夜のころは晴れているとなお一層寒くなっていて、ストーブを焚いているかな。
冬の防寒着で身を整え、月を愛でて、そして月を撮ろう。