399.巻四・680~682:大伴宿禰家持、交遊と別るる歌三首
交遊:男性の友人の意。
680番歌
訳文
「ひょっとしたら他人の中傷を耳にされたからではあるまいか。こんなに待ってもあの方は、一向にいらっしゃらない」
書き下し文
「けだしくも 人の中言 聞かせかも ここだく待てど 君が来まさぬ」以下三首、いずれも女の恋歌の趣でで詠まれている。
けだしくも:仮定や推量の表現を導く副詞。「聞かせかも」に応じている。
681番歌
訳文
「いっそさっぱりと別れようと言って下さったら、こんなに命がけでお慕いするものですか」
書き下し文
「なかなかに 絶ゆとし言はば かくばかり 息の緒にして 我れ恋ひめやも」
なかなかに:仮定条件句の中に用いる時は、望ましくないはずの方を仮に選んでみる意を表す。
息の緒:緒のように続く息の意で、生命を象徴する表現。
682番歌
訳文
「私を思ってくれている人でもないらしいのに、しんそこ思いつめて恋い焦がれている私なのだなあ」
書き下し文
「思ふらむ 人にあらなくに ねもころに 心尽して 恋ふる我れかも」
いっそ別れてしまおう、の余意がある。
心尽して:あまりに思い悩んだあげくに心を使い果たして物が考えられなくなることを表す。
引用した本です。
今朝も良い天気で、今日も夏日かな。
次回の記載は、2018年6月9日を予定しています。
では、今日はこの辺で。