380.巻四・623:池辺王(いけへのおほきみ)が宴誦歌(えんしょうた)一首
宴誦歌:宴席朗詠用の歌の意。お座敷歌の類。自作に限らず古歌を取り上げることもあった。
623番歌
訳文
「松の葉越しに月は渡っていくし、おいでを待つうち月も替わってしまった。まさかあの世行ったわけでもあるまいに、あなたの逢いに来ぬ夜が重なること」
書き出し文
「松の葉に 月はゆつりぬ 黄葉の 過ぐれや君が 逢はぬ夜ぞ多き」懸詞の使用や、夜離(よが)れを相手の死と見立てて歌う途方もない着想か。いかにも宴誦歌らしい。
松の葉:「待つの端(は):待った挙句の意」を懸ける。
ゆつりぬ:天体の運行と暦月の推移の二つをいう。
黄葉の:「過ぐ」の枕詞。「黄葉の過ぐ」は萬葉集ではほとんど死を意味する。
引用した本です。
今朝は雨、最高気温は9℃の予報です。
もう少し暖かくなってほしい。
では、今日はこの辺で。