万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

94.自然を詠んだ歌(8)月

月について、自然を詠んだ歌(5)月で一度記載しています。

(5)で記載しているのは詠まれているのは、歌の数、月の別称、月の表現、そして、好きな巻七の1068の歌を紹介しています。

よろしかったら一読いただけると嬉しいです。

(8)では、2014年10月8日の皆既月食を撮り終えて、ブログなどに記載してから以前に読んだ下記の本を思い出したのです。

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で、竹取物語万葉集の関係につて学んだことを要約して記載しました。

もう詠まれた方や興味の無い方は、下の皆既月食の画像を見て行ってください。

皆既月食の撮影の詳細は、もう一つのブログ「風景夢譚」を訪ねてみてください。

風景夢譚(2014年10月10日記載)


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保立氏によりますと「竹取物語」の中に残る神話の幻影は、「万葉集」(巻16・3790)の竹取翁の歌物語と重ね合わすことによって最初の姿をあらわすとのこと。

次がその詞書(一部のみ下記に記載)であるそうです。

「昔、老翁有り、号を竹取といふ。この翁、季春の月に、丘に登り遠く望むに、忽ちに羹を煮る九箇(ここのたり)の女子に逢ひぬ。・・・・・・・略・・・・・・」と。

(「・・・・・竹取翁が季春(陰暦三月)のころに山に登ったところ、「神仙」のような九人の乙女にあった。・・・・・略・・・・・」と。)

この歌物語には嫪歌(かがひ:歌垣)の風習が反映していること、翁が物語を語り、歌を詠む主体であること(これは「竹取物語」でも同じこと)、「万葉集」の歌物語で翁が竹を切りに野山に出た季節も三月であったこと、乙女と翁がであったのは夜であったこと、そして、「竹取物語」と「万葉集」は、翁と仙女が、春の夜の闇のなかで出会ったという点では同じ「夜の神話」ということなどと要約できるようです。

また、竹取物語の舞台が、大和国広瀬・龍田社の周辺に置かれていること、竹取物語の執筆の約二百年ほど前の、天武天皇の時代が竹取物語の時代設定であること、かぐや姫に求婚する五人は天武天皇の下で立身した人々であること、帝は文武天皇ではなく、天武天皇をモデルにしていることなどと要約できます。

本の内容を以下の目次からも知ることができます。

<本の目次>

はじめに

第一章

竹取物語」と夜の神話

一、春の夜の闇に光る竹

二、「小さ子」と竹流しの金塊

三、かぐや姫と男女の道

第二章:月の神話と火山の神

一、「竹取物語」の舞台はどこか?

二、大和王権と竹の神話

三、丹後からやってきた「月の女神」

四、北東アジアの火山神話とアマテラス以前

第三章:天武天皇と「脱神話化」する国家

一、「竹取物語」の時代設定はいつか?

二、天皇制の始祖神話の変更

三、神話世界からの離脱と神仙思想

第四章:皇子・貴族たちの求婚難題譚

一、求婚者の登場とかぐや姫の秘密

二、「権門秩序」の崩壊と皇子たちの物語

三、「富」「武」「官」を代表する貴族たちの物語

四、世俗の「イキホヒ」を否定する「竹取物語

第五章:かぐや姫なぜ月世界へかえったのか?

一、王と天女の遭遇

二、かぐや姫の憂鬱と「物忌」する女

三、月世界の「清浄」と地上世界の「穢れ」

四、帰天・不死の薬・富士火山

終章:物語の成立・神道の成立

かぐや姫年表

参考文献

あとがき

付録:「竹取物語」全文(新翻刻・保立道久)

皆既月食を機会に、もう一度読み直そう。

巻16・3790

「あしひきの玉蔓の児今日の如いづれの隈を見つつ来にけむ」

(あしひきの山蔓児が、今日入水してしまうといってくれたら、帰ってきたものを)

(山の玉蔓の名を持つ蔓児よ、後を追おうとさまよう今日の私のように、そなたは、どの物陰を死場所として見やりながら来たのか)

この歌(巻16・3790)の後の詞書ももう一度読み直そう。 

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