207.巻三・242、243、244:弓削皇子、吉野に遊す時の御歌一首
と春日王が和へ奉る歌一首、さらに或本の歌一首
242番歌
訳文
「滝の上の三船の山に雲がいつもかかっているように、いつまでも生きられようなどとは、私は思ってもいない」
書き出し文
「滝の上の 三船の山に 居る雲の 常にあらむと 我が思はなくに」
持統朝において皇子が不遇であったこと、または病弱であったことを、みずから嘆いた歌か。
三船の山:吉野の宮滝にかかる橋の上流右手に見える山。舟岡山ともいう。
243番歌
訳文
「皇子は、千年も生きていらっしゃるでしょう。その証拠に、白雲だって三船の山に絶えたことがありましょうか」
皇子の長寿を願った歌。
244番歌
訳文
「吉野の三船の山に雲がいつも湧き立っているように、いつまでも生きられようなどととは、私は思ってもいない」
書き出し文
「み吉野の 三船の山に 立つ雲の 常にあらむと 我が思はなくに」
右(↑)の一首は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。
引用した本です。
夜半の雨も止んだようです、ただ、風が強く吹いています。
では、この辺で。
次回の記載は、10月22日を予定しています。