410.巻四・705・706:大伴宿禰家持、童女に贈る歌一首と童女が来報(こた)ふる歌一首
童女:成年を迎える以前の少女。誰ともわからないが、巻四で家持の方から歌を贈った相手は、家持自身にとって皆重要な意味を持った女性であったらしい。
705番歌
訳文
「一人前にはねかずらを、いま頭に飾っているあなたを夢に見て、いっそうせつなく心の中で恋いつづけています」
書き下し文
「はねかづら 今する妹を 夢に見て 心のうちに 恋ひわたるかも」
自分が思うと相手を夢に見るという立場で詠んだ歌。
はねかずら:羽毛で作った髪飾りか。女が成年式につけたものかとも言う。
706番歌
訳文
「はねかずらを今つける妹とおっしゃいますが、こちらに心当たりはありません。いったいどこのどなたが、それほどあなたを恋い慕いるでしょう」
書き下し文
「はねかずら 今する妹は なかりしを いづれの妹ぞ そこば恋ひたる」相手が思うと夢に姿が現われるという見方に立って、家持の歌を、誰か別の女性が家持を思っている意に取りなし、ほかの誰かさんでしょうとはぐらかした歌。
引用した本です。
今日も穏やかな朝を迎えました。
日中は晴れるようです。
では、今日はこの辺で。