393.巻四・662・663:市原王が歌一首と安都(あとの)宿禰年足(としたり)が歌一首
662番歌
訳文
「かわいいあの子のいる網児(あご)の山をいくえにも重なった向こうに隠している佐堤(さで)の崎よ。その名を聞くと、網児でさで網を広げていたあの海人おとめの姿が夢にまで見えてくる」
書き下し文
「網児の山 五百重(いほへ)隠せる 佐堤の崎 さで延(は)へし子が 夢(いめ)にし見ゆる」
旅中のの宴歌。
網児:三重県阿児町の海岸。「吾子(あこ)」の意を懸け、さらに網の一種「さで」を引く子に響き合う。
佐堤の崎:未詳、三重県内か。この歌の作歌地点。
さで:小網(さで)。38番歌参照。
子:旅先で親しんだ女性を海女と見立てたものか。
663番歌
訳文
「佐保を飛び渡ってわが家の上で鳴く鳥のように、声にひとしお潤いのあるかわいいわが妻よ」
書き下し文
「佐保渡り 我家の上に 鳴く鳥の 声なつかしき はしき妻の子」
佐保渡り:佐保は300番歌参照。
なつかしき:魅力に富むさま。
引用した本です。
今朝は曇り空です。
午前4時20分現在の室温が20℃です。
ストーブも焚かないで20℃は今年初めてです。
昨日(2018年5月31日)裏山で撮った大甘野老(おおあまどころ)の画像を貼り付けます。
毎年裏山で、五月から六月上旬に咲きます。
小樽に移り住んだ縁ですね、そして、毎年撮っていても年ごとにその表情が違います。
前にも記載しましたが、「にこぐさ」として集中四首詠まれています。
にこぐさは、「にこやか」を導くために使われています。
鳥の羽を広げたような葉の陰で、花が「にこやか」に微笑んで並んでいるように見えます。
参考にして引用した本です。
では、今日はこの辺で。