万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

277.巻三・379・380:大伴坂上郎女、神を祭る歌一首あわせて短歌

大伴坂上郎女大伴安麻呂の娘。旅人の異母妹。母は、石川郎女。はじめ穂積皇子の寵得、皇子没後は藤原麻呂不比等の子)に愛されたが、のち異母兄大伴宿奈麻呂の妻となり、坂上大嬢(家持の妻)と二嬢(おといらつめ)を生んだ。坂上の地に住み、旅人の没後は大伴一族の家刀自(とじ)(主婦)的存在となり、才気に溢れ作風で女性としては最も多くの歌を残した。万葉後期を代表し、集中に八十四首、女性では断然他を引き離しトップです。

神:大伴氏の氏神

379番歌

訳文

高天原から生れ現われて来た先祖の神よ。奥山のさか木の枝に、しらかを付け木綿(ゆう)を取り付けて、斎瓮(いわいべ・いはひへ)をいみ清めて堀りすえ、竹玉(たかたま)を緒にいっぱい貫き垂らし、鹿のように膝を折り曲げて神前にひれ伏し、たおやめである私が襲(おすい)を肩に掛け、こんなにまで一生懸命にお祈りをしているのに、あの方に逢えるのでしょうか」

書き出し文

「ひさかたの 天の原より 生(あ)れ来る 神の命(みこと) 奥山の 賢木(さかき)の枝に しらか付け 木綿(ゆふ)取り付けて 斎瓮(いはひへ)を 斎(いは)ひ堀り据ゑ 竹玉(たかたま)を 繁(しじ)に貫き垂れ 鹿(しし)じもの 膝折り伏して たわや女の 襲(おすひ)取り懸て かくだにも 我れは祈(こ)ひなむ 君に逢はじかも」

氏神の祭祀に当たるべき家刀自として、祖神を招き寄せようとした歌。祖神の中には大伴一族につながる亡夫宿奈麻呂が強く意識されている。

反歌

380番歌

訳文

「木綿で作った幣帛(へいはく)を神前に捧げて、こんなにも私はお祈りしているのに、それでもあの方には逢えないものでしょうか」

書き出し文

「木綿畳 手に取り持ちて かくだにも 我れは祈(こ)ひなむ 君に逢はじかも

右の歌↑は、天平の五(733)年の冬の十一月をもちて、大伴の氏の神を供祭(まつ)る時に、いささかにこの歌を作る。故に神を祭る歌といふ。

長歌の末尾の部分を繰り返して嘆きを強めたもの。

このような儀式の歌も、君(この場合は、おそらく亡夫宿奈麻呂のことでしょう)に対する相聞歌の様相を呈してしまうところが、彼女らしいのです。

引用した本です。f:id:sikihuukei:20170818040256j:plain

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今朝は4㎝ほどの積雪で、朝食前に雪かきでした。

予報では積雪ゼロでした。

では、今日はこの辺で。