44.詠まれている花(8)やまぶき:山吹
撮影の日:2008年5月22日
撮影の地:北海道大学植物園
ヤマブキ、シロヤマブキ、ヤエヤマブキ(バラ科)
「北海道では南部に自生するといわれている。」と手持ちの図鑑に記載してありました。
図鑑で「いわれているという」のは、少し不安ですね。
シロヤマブキは、本州中国地方、栽植、朝鮮、中国と植物園のシロヤマブキの案内板にありました。
他は分布の記載なし。
万葉集には十八首詠まれています。
万葉仮名は、夜麻夫伎、山吹、山振、夜麻夫枳、夜末夫吉、也麻夫支、夜摩扶枳、夜万夫吉です。
大伴池主の巻十七・三九六八の歌が有名です。
「うぐいすの来鳴く山吹うがたも 君が手触れず花散らめやも」
(鶯の来て鳴く山吹は、よもや、あなたの手に触れずに花が散りはしないでしょう。)
山吹色には縁がないのですが、花びらが散って地面が山吹色・黄金色に染まるときれいでしょう。
一度、そんな景色を撮ってみたいです。
万葉のころから庭にも植えられていたようで、当時、すでに八重咲きの園芸種があったと考えられる万葉歌もあるようです。
ヤマブキは、北海道に咲く万葉集の花ですね。
ヤエヤマブキも植栽されているのですから。
追記:2012年9月24日
山吹は、「面影草」とも呼ばれ、山吹の咲く水辺で亡き人の面影を見ることができる
ともいう古代信仰をもうかが知ることができるとのこと。
今では、ビデオやデジカメがあるのでこのような昔の人の思いを窺い知ることは、
今の人には無理なのでしょう。
高市皇子の歌(巻二・一五八)十市皇女の薨ぜしときに作る歌
「山吹の立ちよそひたる山清水 汲みに行かめど道の知らなく」
(山吹が咲き匂っている山の清水を、汲みに行きたいのだが、その道がわからないことよ)
歌番:158、1435、1444、1860、1907、2786、3968、3971、3974、3976、4184、4185、4186、4197、4302、4303、4304
あと一首が分からないのです。