万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

512.巻六・957~961:冬の十一月に、大宰の官人等(たち)、香椎(かしひ)の廟(みや)を拝みまつること訖(をは)りて、

退り帰る時に、馬を香椎の浦に駐めて、おのもおのも懐(おもひ)を述べて作る歌。

957番歌:帥大伴卿が歌一首

訳文

「さあみんな、この香椎の干潟で、袖の濡れるのなどかまわずに、楽しく朝食(あさげ)の海藻を摘もう」

書き出し文

「いざ子ども 香椎の潟に 白栲の 袖さへ濡れて 朝菜摘みてむ」

大宰帥大伴旅人が、香椎の廟参拝を終わった解放感をこめて部下を誘った歌。

958番歌:大弐小野老朝臣が歌一首

訳文

「潮時の風が吹き出しそうな気配になってきた。香椎潟の潮の引いている入江で、今のうちに早く玉藻を刈ってしまおうよ」

書き出し文

「時つ風 吹くべくなりぬ 香椎潟 潮干の浦に 玉藻刈りてな」

満潮の気配を感じて、早く玉藻を刈ってしまおうと、旅人の勧めに応じた歌。

959番歌:豊前守宇努首男人が歌一首

訳文

「行きつ戻りつしながら、いつも見馴れた香椎潟だが、その香椎潟も明日からはもう見られなくなってしまうのだ」

書き出し文

「行き帰り 常に我が見し 香椎潟 明日ゆ後には 見むよしもなし」

遷任のため、香椎潟が見られなくなるのを嘆いた歌か。前二首と同時の作であろう。

960番歌:帥大伴卿、吉野の離宮を遥かに偲びて作る歌一首

訳文

「隼人の瀬戸の、白波のくだける大岩の豪快な光景も、鮎の走り泳ぐ吉野の激流のさわやかさにやっぱり及びはしないのだ」

書き出し文

「隼人の 瀬戸の厳(いはほ)も 鮎走る 吉野の滝に なほしかずけり」

旅先の景と故郷の景との対比を通して、望郷の心を述べた歌。

961番歌:帥大伴卿、吹田の温泉に宿り、鶴の声を聞きて作る歌一首

訳文

「湯の原で鳴いている葦鶴は私ほども激しく妻を恋い求めているのであろうか。そうでもなかろうにあんなにのべつまくなしに鳴いている」

書き出し文

「湯の原に 鳴く葦鶴は 我がごとく 妹に恋ふれや 時わかず鳴く」

この年の四月上旬頃没した妻大伴郎女を恋い慕う心で、鶴の鳴く心に思いをめぐらした歌。

葦鶴(あしたづ):葦原にいる鶴。

引用した本です。

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2016年9月27日の永観堂です。

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購入した絵葉書の見返り阿弥陀です。阿弥陀像のある場所は、撮影禁止で、非情に暗かったです。

では、今日はこの辺で。