万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

110.巻一・10、11、12:中皇命、紀伊の温泉に往(いでま)す時の御歌

中皇命は、間人皇后(中大兄皇子の妃)

10番歌:「君がよも 我がよも知るや 岩代(いわしろ)の 岡の草根を いざ結びてな」

<歌意>(あなたの命も私の命も支配していることよ。この岩代(磐代)の岡の草を さあ結びましょう)

草の根を結ぶ:ネは接尾語、屋根、垣根、草の葉を結ぶことは、結びとめる行為の中に、その人間の命が結びこめられると考える古代信仰。この結ばれたものが人間の年齢を支配しているわけで、草そのものではないとのこと(中西 進氏)。この歌の後、同年有馬皇子が同処で松の枝を結んで歌っている。141番歌と142番歌

11番歌:「我が背子は 仮廬(かりいほ)作らす 草(かや)なくは 小松が下の 草を刈らさね」

<歌意>(いとしいあの方が一夜の宿りを作っていらっしゃる。葺(ふき)草がなかったら、小松の下の草をお刈りなさいな)

12番歌:「わが浴(ほ)りし 野島(のしま)は見せつ 底深き 阿胡根(あこね)の浦の 珠(玉)ぞ拾(ひり)はぬ」

<歌意>(私の観たいと思っている野島は、見せてくださいました。しかし、まだ、海の底深い阿胡根の浦の珠は拾っておりません)

和歌山県御坊市名田町野島。野島付近。今の野島崎の南の湾入か。斉明天皇の作であるが、中皇命の代作。それで、歌中に敬語がない。

万葉集の中で最初に貝を詠んだ歌です。

私のHP「BIVALVES」に貝を詠んだ歌をとりまとめています。集中69首。

ホームは、12部屋あり、その中の「万葉集の貝」の部屋へ、そして、巻別一覧表も見てください。

Bivalves 

中皇命は、3、4、10、11、12歌番の5首が載る。

参考にした本

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なお、2012年5月26日にこのブログに記載した「12.万葉集と貝(一)真珠」を右サイドの最新記事か下の関連記事から読んでみてください。