88.万葉集に詠まれている花(23)宇波疑・莵芽子(うはぎ)・ヨメナ(嫁菜)
昨年、裏山と庭の境近くで都忘れという野菊を見つけました。笹を駆除していて見つけたものです。もう少しで一緒に刈り取ってしまうところでした。小樽に移り住んで7,8年になるのに気が付かなかったのです。庭に入り込んできた笹を駆除した時に、可憐な野菊の花に気が付いて残すことができたのです。90歳の義母が昔愛でて植えたらしいのです。
今年は、一回り大きくなって、株も増えて、数日前から薄紫色の清楚で可憐な花を咲かせています。
都忘れの仲間のヨメナは、秋に咲く花で、季語も秋のようです。桔梗なども栽培種は開花時期が早くなっているようです。柚香菊、関東嫁菜、深山嫁菜、野紺菊などとともに、一般に野菊と呼ばれているようです。識別は難しいらしい。
都忘れは、本州、四国、九州の山地に自生するミヤマヨメナの栽培品種らしい。鎌倉時代、承久の乱に敗れて佐渡に流刑になった順徳院が、この花を見て心を慰めたということから名がついたとされているようです。
また、ヨメナ、ユウガギク、ホシザキユウガギク、オオユウガギク、ユウゼンギク、ホウキギク、コモノギク、サワシロギク、キシュウギク、シラヤマギク、ゴマンサ、ヤマシロギク、ノコンギク、コンギク、イナカギク、ミヤマコンギク、シオン、ヒメシオン、ヒゴシオン、タテヤマギク、ウラギク、ダルマギク、ハマベギク、イソカンギク、カワラギク、アレノノギク、オオバヨメナ、シュンジュギク、そして、ミヤマヨメナ(みやこわすれ)が同じ属のようです。
北海道の花の図鑑に、主要和名キクとして多くの種が、記載されています。
ミヤマヨメナは、手持ちの北海道の花図鑑に記載がないのです。本来道内に自生しないのですから、当然ですが。また、みやこわすれと同じ属のものもあるでしょう。
このブログでは、万葉植物の一つ「うはぎ」(ヨメナ)として、みやこわすれ(ミヤマヨメナ)を北海道に咲く万葉植物と勝手に決めました。
学名をカタカナで、和名・標準和名を平仮名で表記しました。学名、品種名などややこしいですね。
例として、レブンコザクラを見ますと、属と種がセイヨウユキワリソウ、亜種ではユキワリソウ、変種ではレブンコザクラ、品種ではシロバナレブンコザクラです。つまり、セイヨウユキワリソウの亜種ユキワリソウの変種で、花が白い個体の学名は、さらに品種名がついてシロバナコザクラということになるのだそうです。よけいわからなくなったな。
(で、集中何首詠まれているの)
集中二首詠まれています。巻2・221と巻10・1879です。
どちらも柿本人麻呂が詠んだ歌と思うのですが、1879の歌は詠み人不明としている本が、少ない蔵書の中にあります。
では、巻2・221の歌から。
臣人麻呂が作る歌一首(巻2・220) 併せて短歌(巻2・221、222)とあり、長歌(220)の後の歌になります。
「妻もあらば 摘みて食(た)げまし 沙弥(さみ)の山 野の上のうはぎ 過ぎにけあらずや」
(妻でもここにいたら、一緒に摘んで食べることもできたろうに。狭岑(さみね)の山の野辺一帯の嫁菜はもう盛りが過ぎてしまっているのではないか)
そして、巻10・1879の歌です。
「春日野に 煙(けぶり)立つ見ゆ 娘子(をとめ)らし 春野のうはぎ 摘みて煮らしも」
(春日野に煙が立っているのが見える。おとめたちが春の野のうはぎを摘んで煮ているらしい)
万葉時代から春の摘み草として、食用にされていたのですね。
春日野は奈良市東部の春日山山麓一帯の広々とした野なのでしょう。今も長閑な時間が過ぎていく場所のように思えます。
では、下記に昨日(2014年6月21日夏至)摘んだ、いや、撮った都忘れです。蝦夷梅雨のような天気が十日以上続いて、昨日昼頃から晴れて来たのです。蝦夷梅雨が明けたような天気でした。
デジカメ片手に撮りに出かけました。
1)独活の右後方に咲く
2)~10)