422.巻四・735・736:同じき坂上大嬢、家持に贈る歌一首 また、家持、坂上大嬢に和ふる歌一首
735番歌
訳文
「春日山に霞がたなびき、ぼうっと月が照っている夜に、私の心もそのように晴れやらず、独り寝することになるのでしょうか」
書き下し文
「春日山 霞たなびき 心ぐく 照れる月夜(つくよ)に ひとりかも寝む」
723番歌の「ひとり寝む」を承けて待つ心を歌った歌。
1450番歌の影響を受けている。
心ぐく:心が晴れずせつない意。「照れる」にかかるとともに結句の心情を先触れする修飾語。
ひとりかも寝む:待つ心を表す慣用語。恋歌の結句に多い。
736番歌
訳文
「月夜になると門の外に立ち出でて、夕方の辻占(つじうら)をしたり、足占をしたりしたのですよ。あなたのところへ行きたいと思って」
書き下し文
「月夜には 門に出で立ち 夕占問い 足占をぞせし 行かまくを欲(ほ)り」
占いの結果が凶と出て行けなかったと弁じて、前歌に答えたものか。
夕占:精霊の活躍する夕方に道行く人の言葉を側聞して吉凶を占うことらしい。420番歌参照。
足占:足に合わせて吉、凶と唱え、目標についたときが吉か凶かで、ことの成否を判断する占いよもいう。
引用した本です。
今朝は夜半の雨も一時止みました。
蝦夷梅雨のようなムシムシた模様です。
では、今日はこの辺で。