17.万葉集の面白さ(六)卯の花
撮影の日:平成二十四年六月五日
撮影の地:小樽の家の裏山
撮影の花:谷空木
「卯の花:うのはな」は、夏は来ぬの文部省唱歌にも歌われ今でもそのままの名前で呼ばれています。
万葉集の主題歌に推薦するとすると私はこの唱歌ですね。
「卯の花のにおう垣根の 時鳥早もきなきて」と歌われています。
でも、この卯の花が小樽には自生していないようなのです。
北海道の南部に生育しているらしいのです。
ですから北海道に咲く万葉集の花として「うのはな」を挙げることはできるのです。
ただ、家の周りに咲いている谷空木は卯の花(空木)と属する科も違い、さらに花の色形も違うのです。
それでも小樽の初夏を告げる谷空木は、卯の花の代わりと思いたいのです。
空木の縁だけで。
「うのはな」は、集中二十四首詠まれているようです。
その多くは時鳥とセットで詠まれているとのこと。
ただ、卯の花の開花期は地域によって異なり、本州の平野部では四、五月ごろ、北国越前では、小樽と同じ六月の開花となるようです。
越前で詠まれた歌は入梅の頃に詠まれた歌らしく、「卯の花を腐すな雨(がめ)の始め水・・・」と詠まれています。
小樽にはいわゆる梅雨がなく、さわやかな季節です。
谷空木は小樽の初夏に咲き、空木の縁から卯の花の代わりと勝手に思っています。
小樽に咲く万葉集の花の一つが、谷空木と決めています。