502.巻六・933・934:山部宿禰赤人が作る歌一首あわせて短歌
933番歌
訳文
「天地が永遠であるように、日月が長久であるように、難波の宮でわが天皇はとこしえに国をお治めになるらしい。御食(みけ)つ国の日ごとの貢物として、淡路の野島の海人たちが、沖の岩礁に潜って鰒玉(あわびたま)をたくさんに採り出し、舟を連ねてお仕えしているさまは、見るにまことに尊い」
書き出し文
「天地の 遠きがごとく 日月の 長きがごとく おしてる 難波の宮に 我ご大君 国知らすらし 御食つ国 日の御調(みつき)と 淡路の 野島の海人の 海(わた)の底 沖つ海石(いくり)に 鰒玉 さはに潜(かづ)き出 舟並めて 仕へ奉るし 貴し見れば」
野島の海人の奉仕を通して天皇を讃えた歌。
私のHP「BIVALVES」に「万葉集の貝」の部屋があり、集中に貝を詠んだ歌は70首あり、その6番目に詠まれた歌と紹介しています。部屋を訪ねてみてください。
反歌一首
934番歌
訳文
「朝凪の海に櫓の音が聞こえる。あれは御食つ国淡路の、野島の海人たちの舟であるらしい」
書き出し文
「朝なぎに 楫(かぢ)の音聞こゆ 御食つ国 野島の海人の 舟にしあるらし」
朝凪の海に響く櫓の音を、野島の海人が天皇の御食料のために奉仕しているものと見て、天皇を讃えた歌。
引用した本です。
2016年9月27日撮影の修学院離宮
では、今日はこの辺で。
次回の記載は、2018年10月29日を予定しています。