501.巻六・931・932:車持朝臣千年が作る歌一首あわせて短歌
931番歌
訳文
「浜辺が清らかなので、しなやかに生い茂っている玉藻に、朝凪にも千重に重なる波が寄せ、夕凪にも五百重(いおえ)に重なる波が寄せる。この岸の波がしきりに寄せるように、月ごと日ごとに見ても飽きるものか。まして今だけで見飽きることなどありはしない。白波の花が岸辺を咲きめぐるここ住吉の浜辺は」
書き出し文
「鯨魚(いさな)取り 浜辺(へ)を清み うち靡き 生ふる玉藻に 朝なぎに 千重波寄せ 夕なぎに 五百重波寄す 辺つ波の いやしくしくに 月に異(け)に 日に日に見とも 今のみに 飽き足(だ)らめやも 白波の いさき廻れる 住江の浜」
天皇の遊覧した住吉の浜の風光を讃えた歌。934番歌まで、献歌の場は住吉」の浜であろう。
鯨魚取り:浜辺の枕詞
反歌一首
932番歌
訳文
「白波の幾重にも来寄せる住江の浜の岸の埴土(はにつち)で、さあみんな、衣を染めて行こう」
書き出し文
「白波の 千重に来寄する 住吉の 岸の埴生に にほひて行かな」
2016年9月27日の修学院離宮
では、今日はこの辺で。