499.926・927
926番歌
訳文
「安らかに天下を支配されるわが天皇は、吉野の秋津の小野の、野の上には跡見(あとみ)を配置し、山には射目(いめ)を一面に設け、朝(あした)の狩に鹿や猪を追い立て、夕の狩に鳥を飛び立たせ、馬を並べて狩場にお出ましになる。春の草深い原野に」
書き出し文
「やすみみし 我ご大君は み吉野の 秋津の小野の 野の上には 跡見据ゑ置きて み山には 射目立て渡し 朝狩に 鹿猪踏み起し 夕狩に 鳥踏み立て 馬並めて 御狩ぞ立たす 春の茂野に」
人麻呂の38~39番歌に倣った天皇讃歌。狩の季節でない春に狩りをすると歌うことで、天皇の威勢を讃えている。
反歌一首
927番歌
訳文
「見わたすかぎり山にも野にも、御狩人(みかりひと)たちが矢を挟み持ってひしめきあっている」
書き出し文
「あしひきの 山にも野にも 御狩人 さつ矢手挟(たばさ)み 騒きてありみゆ」
では、今日はこの辺で。