万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

498.巻六・923~925:山部宿禰赤人が作る歌二首あわせて短歌(一首あわせて短歌の間違いではないかな)

923番歌

訳文

「あまねく天下を支配されるわが天皇が高々とお造りになった吉野の宮は、幾重にも重なる青い垣のような山々に囲まれ、川の流れの清らかな河内である。春のころは山に花が枝もたわわに咲き乱れ、秋ともなれば川面一面に霧が立ちわたる。その山の幾重にも重なるように幾度も、この川の流れの絶えぬように絶えることなく、天皇に仕える大宮人はいつの世にも変りなくここに通うことであろう」

書き出し文

「やすみしし 我ご大君の 高知らす 吉野の宮は たたなづく 青垣隠り 川なみの 清き河内ぞ 春へは 花咲きををり 秋されば 霧立ちわたる その山の いやしくしくに この川の 絶ゆることなく ももしきの 大宮人は 常に通はむ」

927番歌まで、人麻呂の36~37番歌に倣って宮讃めを主題とし、とくに923番歌は構文・歌詞とも人麻呂に負うところが多いが、36~37番歌の天皇讃美の要素を926番歌以下に譲り、いっそう宮讃めに徹している。923番歌の景の叙述は山対川の二句対に終始し、整然として儀礼歌にふさわしい。

反歌二首

924番歌

訳文

「吉野の象山(きさやま)山中の木々の梢では、あたり一面に鳴き騒ぐ鳥の声の何とにぎやかなことか」

書き出し文

「み吉野の 象山の際の 木末には ここだも騒く 鳥の声かも」

長歌の山川の対のうち、山の叙述を承け、朝の山中の生気あふれる鳥の声に焦点を絞って離宮を讃えた歌。

924、925番歌の参考にした本

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925番歌

訳文

「夜がしんしんと更けるにつれて、久木の生い茂る清らかな川原で千鳥がしきりに鳴いている」

書き出し文

「ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生ふる 清き川原に 千鳥しば鳴く」

前歌に対して、長歌の対句中、川の叙述を承け、夜の川原の千鳥の声に焦点を絞って離宮を讃えた歌。

引用した本です。

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では、今日はこの辺で。