万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

497.巻六・920~922:神亀二年乙牛の夏の五月に、吉野の離宮に幸す時に、笠朝臣金村が作る歌一首あわせて短歌

920番歌

訳文

「み山全体をさやかに響かせてほとばしり落ちる吉野川の、川の瀬の清らかなありさまを見ると、上流では千鳥がしきりに鳴く。下流では河鹿が妻を呼ぶ。天皇にお仕えする大宮人もあちこちにいっぱい往き来しているので、見るたびにむしょうに心引かれて、玉葛のように絶えることなく、万代までもこのままであってほしいものだと、天地の神々を切に祈り奉る。まことに恐れ多いことであるが」

書き出し文

「あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 上辺には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ ももしきの 大宮人も をちこちに 繁にしあれば 見るごとに あやにともしみ 玉葛 絶ゆることなく 万代に かくしもがもと 天地の 神をぞ祈る 畏くあれども」

反歌二首

921番歌

訳文

「万代までも見つづけても見飽きることなどありはすまい。吉野の激流渦巻く河内の、この清らかな大宮の地は」

書き出し文

「万代に 見とも飽かめや み吉野の たぎつ河内の 大宮ところ」

922番歌

訳文

「皆々方の命も、そして私の命も、この吉野の滝の常盤のように永遠であってはくれないものか」

書き出し文

「皆人の 命も我れも み吉野の 滝の常盤の 常ならぬかも」

2016年9月の上賀茂神社

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では、今日はこの辺で。