万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

464. 巻五・871

前文の訳文

「大伴佐堤比古郎子は、特に朝廷の命を受けて、御国の守り、任那に使いすることになった。船装いをして出発し、次第次第に青波の上を進んで行った。

ここに、妾(つま)の松浦佐用姫は、今忽ちにして別れ、いつまた逢えるかも知れぬことを深く嘆いた。そこで高い山の嶺に登り、遠ざかって行く船を遥かに見やり、悲しさに肝も絶え、苦しさに魂も消える思いであった。

ついにたまらず領巾を手に取って振った。それを見て傍らの人々はこぞって泣いた。これによって、この山を名づけて「領巾振りの嶺」と呼ぶようになったという。

そこで作った歌」

大伴佐堤比古:大伴旅人の曽祖父の弟にあたる

871番歌

訳文

「(遠つ人)松浦佐用姫が夫を恋い慕って領巾を振った時から、名づけられた山の名だ」

引用した本です(20から22頁)。

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佐賀県:松浦・領巾振りの嶺;万葉集時代に肥前国松浦郡に残されていた伝説、それをもとにした歌である。

「遠くにいる人を待つという名の松浦佐用姫が、夫恋しさに領巾を振ったその時から、名づけられた名である。この山の名は」

引用した本です(81から82頁)。

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書き下し文

「遠つ人 松浦佐用姫 夫恋(つまご)ひに 領巾振りしより 負へる山の名」

前文とこの歌とは、憶良の868~870番歌に対する旅人の作と思われる。特に868番歌を意識している。祖先にちなみの山をすなおに懐かしむ点に、憶良と違った旅人の風がある。

東大寺の画像の続きです。

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では、今日はこの辺で。