458. 巻五・861~863:後人の追和する詩三首 帥老(そちのおきな)
861番歌
訳文
「松浦川の川の瀬が早いので、娘子たちは紅の裳裾をあでやかに濡らしながら、鮎を釣っていることであろうか」
書き下し文
「松浦川 川の瀬早み 紅の 裳の裾濡れて 鮎か釣るらむ」
蓬客の855番歌に和した歌。
862番歌
訳文
「誰もかれもが見ている松浦の玉島を、一人見ることもかなわずに、私はこんなにもせつなく恋い焦がれていなければならないのか」
書き下し文
「人皆の 見らむ松浦の 玉島を 見ずてや我れは 恋ひつつ居らむ」
856番歌の「松浦なる玉島川」を承けて和している。
863番歌
訳文
「松浦川の玉島の浦で若鮎を釣る、美しい娘子たちを見ている人々が羨ましくてたまらない」
書き下し文
「松浦川 玉島の浦に 若鮎釣る 妹らを見らむ 人の羨(とも)しさ」
857番歌の「松浦の川に若鮎釣る妹」を承けて和した歌。
では、今日はこの辺で。