453.巻五・ 847・848:員外、故郷を思ふ両歌
員外:梅の花三十二首の員数外の人の意。三十二首の末尾843~845などに刺戟されての旅人の作らしい。
847番歌
訳文
「私の男盛りはすっかり過ぎてしまった。飛行長生の仙薬を飲んでも、再び若返りはしまい」
書き下し文
「我が盛り いたくくたちぬ 雲に飛ぶ 薬食むとも またをちめやも」
848番歌
訳文
「飛行長生の仙薬を飲むよりはむしろ奈良の都を一目見たい、そうしたらこの卑しい老爺の身も再び若返るにちがいない」
書き下し文
「雲に飛ぶ 薬食むよは 都見ば いやしき我が身 またをちぬべし」
右に二首は、梅花三十二首、次の追和四首、続く松浦川の作ともども、都の吉田宣に贈られた。
では、今日はこの辺で。