419.巻四・725・726:天皇に献(たてまつ)る歌二首 大伴坂上郎女、春日の里に在りて作る。
春日の里:坂上郎女、の私宅のあった地。坂上と同所か。721番歌参照。
725番歌
訳文
「かいつぶりがもぐって姿を隠す池の水よ。「心」を持つお前に思いやりの心があるのなら、君をひそかにお慕い申し上げる私のせつない心をそこい映し出しておくれ」
書き下し文
「にほ鳥の 潜(かづ)く池水 心あらば 君に我が恋ふる 心示さね」
次歌とともに恋情表現をとった技巧的な作品。大伴氏の家刀自として宮廷への一層の接近を願う気持ちをこめて献上したもの。池は平城京の内裏にあった西池か。西池での詩宴や歌宴とかかわりがあるか。1650番歌参照。
にほ鳥:かいつぶり水に潜って魚を捕る習性がある。ここでは秘めた恋心の譬えともなっている。
心あらば:池の中心を心ということから生まれた表現。仮定的にいうことで同情の心の意を含めたもの。
726番歌
訳文
「離れていて恋い焦がれてなんかいずに、いっそ君のお庭の池に住みついているという鴨ででもありたいものです」
書き下し文
「外(よそ)に居て 恋ひつつあらずは 君が家の 池に住むといふ 鴨にあらなしを」
引用した本です。
今朝は穏やかな空模様です。
不審ケ辻子町から興福寺五重塔を2008年2月下旬に撮りました。(画像横になってしまいました)
では、今日はこの辺で。