416.巻四・721:天皇に献る歌一首 大伴坂上郎女、佐保の宅に在りて作る
佐保の宅:大伴氏宗家の居宅。528番歌左注参照。郎女が坂上でなく佐保にいたのは大伴家の実質的な家刀自の立場からであろう。より私的な内容の献上歌725番歌では「春日の里」と注記のある点が注目される。
721番歌
訳文
「何しろ山住みの身の無粋者でございますから、都のみやびにうといままに私がいたしますこの振舞いを、失礼だとお咎め下さいますな」
書き下し文
「あしひきの 山にしをれば 風流(みやび)なみ 我がするわざを とがめたまふな」
季節ごとに大伴家から土地の産物を献上する慣習があり、家刀自がそれを取りしきっていたのであろう。その献上品に添えた歌か。
山にしをれば:内裏よりは山に近い佐保を謙遜してこう言ったもの。自らを異郷の山人と見立てる風流心もあるか。
風流(みやび)なみ:風流はここでは都会的に洗練された教養をいう。126番歌参照。なみはなしのミ語法。
引用した本です。
今朝は夜半からの雨が降りつずいています。
一日雨のようです。
6月25日に小樽の庭で撮った都忘れを貼り付けます。
鎌倉時代、承久の乱に破れて佐渡に流刑になった順徳院が、この花を見て心を慰めたということから名がついたとされる。
雨に濡れた花は、雫をまといきれいな姿となり、心を和ましてくれるかな。
では、今日はこの辺で。