404.巻四・694・695:広河女王が歌二首 穂積皇子の孫女、上道王が女(むすめ)なり
694番歌
訳文
「刈っても刈っても生い茂る恋草を、荷車七台に積むほど恋の思いに苦しむのを、私自身の心から出たことなのです」
書き下し文
「恋草(こひくさ)を 力車に 七車 積みて恋ふらく 我が心から」
恋を草に譬え、車を持ち出して恋の重荷にたえかねるさまを表している。戯れ歌でああろう。
695番歌
訳文
「恋の奴などもう退散させたと思っていたこの私なのに、どこの恋がむしゃぶりついてきたのか」
書き下し文
「恋は今は あらじと我れは 思へるを いづくの恋ぞ つかみかかれる」
前歌と同様、譬喩の趣向による歌。恋を擬人化して憎んだのは、祖父穂積皇子の3816番歌に学んだものか。
引用した本です。
今朝は雨、寒い朝で、久しぶりにストーブを焚く。
次回の記載は6月16日を予定しています。
では、今日はこの辺で。