402.巻四・691・692:大伴宿禰家持、娘子に贈る歌二首
娘子:離絶中であるため(727番歌題詞参照)はばかって名を伏せたもので、実は大嬢を心の底において娘子と言ったと見ることも可能か。
691番歌
訳文
「大宮仕えの女官はたくさんいるが、私の心をとらえて離さないのは、そんな人よりもあなたなんだよ」
書き下し文
「ももしきの 大宮人は さはにあれど 心に乗りて 思ほゆる妹」
美女の代表というべき高貴な女官を引き合いに出して名もない娘子に対する思いの強さを述べている形の歌。
ももしきの:大宮人の枕詞。
心に乗りて:心にしっかりと食い込んで。100番歌参照。
692番歌
訳文
「かわいげもないお方ですね。こんなに人の心を悩まして痩せ衰えさせるとは」
書き下し文
「うはへなき 妹にもあるかも かくばかり 人の心を 尽さく思へば」
同じく「娘子」を相手とした湯原王の631番歌によるか。
人:自分を三人称的に表現したもの。
引用した本です。
今朝は晴れの良い天気ですが、日中曇り、夜半に雨の予報です。
では、今日はこの辺で。
次回の記載は、6月15日を予定しています。