376.巻四・613~617:山口女王、大伴宿禰家持に贈る歌五首
山口女王:伝未詳。1617番歌にも家持に贈った歌があります。
613番歌
訳文
「物思いをしていると他人に気取られまいと、むりやりいつも平気をよそおっています。ほんとは恋しくて死んでしまいそうなのです」
書き出し文
「物思ふと 人に見えじと なまじひに 常に思へり ありぞかねつる」
614番歌
訳文
「私を思ってもくれない人なのに、それなのにただむやみに、袖がぐっしょり濡れるほど、私は声をあげて泣くばかりです」
書き出し文
「相思はぬ 人をやもとな 白栲の 袖漬(ひ)つまでに 音のみし泣くも」
615番歌
訳文
「あなたが私を思って下さらなくて夢に現れることはなくても、せめてあなたの枕くらいは夢に見えて欲しい」
書き出し文
「我が背子は 相思はずとも 敷栲の 君が枕は 夢に見えこそ」
相手が思うと夢にその姿が見えるという俗信を踏まえて、相手の代わりにその魂のこもる枕までもと言ったもの(216番歌参照)。
616番歌
訳文
「浮名が立つのを惜しがる気持は、もう私にはありません。あなたに逢わずにこんなに年月がたったのですもの」
書き出し文
「剣大刀 名の惜しけくも 我れはなし 君に逢はずて 年の経ぬれば」
類歌2879、2984番歌など。
617番歌
訳文
「葦原のあたりを満ちてくる潮のように、君を思う気持がひたひたと募るせいか、どうしてもあの方を忘れることができない」
書き出し文
「葦辺より 満ち来る潮の いや増しに 思へか君が 忘れかねつる」
613~617番歌の五首は一組で、85~88、96~100、123~125番歌などのように、最後はやはり独詠的であるとのこと。
引用した本です。
5月11日~13日に札幌へ。
もう一つのブログ「風景夢譚」に、11日訪れた北大植物植物園の花を貼り付けていますが、ここでは未貼り付けの写真を貼り付けます。
チョウセンレンギョ
オオカメノキ
高層マンションが建つようです。
敷地を植物園に寄付して欲しかたっな。
ほかにもいろいろ咲いていました。
園の花ごよみでは、オオバナノエンレイソウが旬のようで、エンレイソウ実験園と温室の近くで咲いていました。家の庭でも一株咲いています。
北大植物園は、中学生のころから訪れています。
頻繁に訪れるようになったのは、定年を意識するようになった五十歳前半からです。
七十代になった今も訪れています。
園は、懐かしい建物や木々、ローン、花々に満ちています。
名画と久しぶりに会った気持ちとは違う、安らぎを感じます。
幼いころの思い出だからかなと思うのです。
札幌市には、あまりにも多くの新しい高層ビルなどが建ち並び、そして人口も増え、街自体が近隣市町村を合併して膨れ上がったからですね。
また、アカシア並木(北一条通り、札幌駅前通りなどに)、旧札幌駅(開拓の村に移築してます)、五番館などの古い建物が市内から消えました。
こんなこと思うのは歳のせいですね。
では、今日はこの辺で。