371.巻四・586:大伴宿禰稲公(いなきみ)、田村大嬢に贈る歌一首 大伴宿奈麻呂郷が女なり
田村大嬢:大伴宿奈麻呂の娘で、坂上大嬢の異母姉。妹に贈った歌が多く、特にこの姉妹は親密であった。
586番歌
訳文
「なまじ逢ったりしなかったらこんなに恋い焦がれることもなかったろうに、あなたにお逢いしてむやみにこうも恋に苦しむばかりでは、これから先どうすればよいのだろう」
書き出し文
「相見ずは 恋ひずあらましを 妹を見て もとなかくのみ 恋ひばいかにせむ」
右の一首は、姉坂上郎女が作なり。
逢わなければよかったという形で恋心を表す歌。
同趣の歌に2392番歌などがある。
稲公は坂上郎女の同腹の弟らしい。
この歌は、その弟のために歌に長じた姉が代作したもの。
引用した本です。
今朝は少し肌寒く、ストーブを焚きました。
昼頃から雨の予報です。
では、今日はこの辺で。