364.巻四・572~575:大宰帥大伴卿が京に上りし後に、沙弥満誓、卿に贈る歌二首と大納言大伴卿が和ふる歌二首
572番歌
訳文
「いくらお逢いしても飽きない君に置きざりにされて、いつまで朝に夕に寂しい気持を抱きつづけることでしょうか」
書き出し文
「まそ鏡 見飽かぬ君に 後れてや 朝夕に さびつつ居たむ」
3185番歌を踏まえた歌であろう。
573番歌
訳文
「黒髪がまっ白になる年になっても、こんなに激しい恋心に苛まれることもあるものなのです」
書き出し文
「ぬばたまの 黒髪変わり 白けても 痛き恋には 逢ふ時ありけり」
前歌とともに、恋歌めかして相手のいない寂しさを訴えたもの。万葉後期になると、男子間にも恋歌的表現に心情を託する歌の世界が生まれた。
大納言大伴卿が和ふる歌二首
574番歌
訳文
「ここから見て筑紫はどの方向になるのだろう。白雲のたなびくあの山の遥か彼方であるらしい」
書き出し文
「ここにありて 筑紫やいづち 白雲の たなびく山の 方にしあるらし」
ここ:大和の邸宅をさす。
白雲の たなびく山:西方、生駒連峰のあたりを眺めて言ったもの。
575番歌
訳文
「草香の入江には餌をあさる葦鶴の姿が見えるが、ああ、たずたずしく心細いことだ。ともに語りあえる友もいなくて」
書き出し文
「草香江の 入江にあさる 葦鶴の あなたづたづし 友なしにして」
類歌2490番歌。
草香江:大阪の上町台地東方に難波江が大きく湾入し、淀川や大和川が流れ込んでいた。その東端、生駒西麓をいう。博多湾西部にも同名の地があるが、相手に近いその海岸をイメージを重ねて友を思う心を強調している。
たづたづし:拠り所がなく不安な気持を表す。
引用した本です。
今朝は良い天気で、日中20℃になるとか。
4月26、27日に庭に咲く延齢草を撮りましたので、貼り付けま
す。
27日
では、今日はこの辺で。