万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

360.巻四・563・564:大伴坂上郎女が歌二首

前歌(559~562番歌)の一連の老人の恋に対して、老女の恋の形で答えた物。

この二首も恋の遊びと思われます。

引用した本です。

f:id:sikihuukei:20180420082458j:plain

参考にした本です。

f:id:sikihuukei:20180419080801j:plain

563番歌

訳文

「黒髪に白髪が混じるほど老いたこの年になるまで、こんなにも激しい恋をしたことはございませんわ」

書き出し文

「黒髪に 白髪交(しらかみま)り 老ゆるまで かかる恋には いまだ会はなくに」

564番歌

訳文

「ごめいわくでしたでしょう?茂ってはいても実のならない山菅のように、何のこともなかった私との仲を、あれこれ噂されたりして・・・・・。ね?教えてくださいな、あの晩、あなたとご一緒だった女性、ほんとうのところは誰なんですの?」

書き出し文

「山菅の 実成らぬことを われに依せ 言はれし君は 誰とか宿(ぬ)らむ」

杉本氏の本の「黒髪に白髪交り老ゆるまでーーー恋の遊びの贈答歌」を引用します。

「・・・・・一読しておわかりのように、これらは遊びとしての恋歌の贈答です。百代は百代で、あえて歌で恋を仕掛け、坂上郎女は郎女で、それを百も承知で軽くいなして、たのしんでいるのです。第一、坂上郎女は、このときまだ三十歳になるやならず・・・。「白髪」だの「老い」るなどとことさら言いたてる年齢ではありません。ちっとも、百代と彼女の歌が一組のものでないとすれば、話は別。「黒髪に」の歌は、中年になってから、だれかとの鮮烈な恋の陶酔を体験した女の、驚きと歓喜と不安をうたいあげた、ほんとうの恋の歌にたちまち、変身するのです。・・・・・」

昨日も今朝もあまり良い天気ではなく、朝にストーブを焚きました。

昼頃より雨の予報です。

では、今日はこの辺で。