万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

351.巻四・543~545:神亀元年甲子の冬の十月に、紀伊の国に幸す時に、従駕(おほみとも)の人に贈らむために娘子に誂(あとら)へらえて作る歌一首あわせて短歌  笠朝臣金村

543番歌

訳文

天皇行幸につき従って、数多くの大宮人たちと一緒に出かけて行った、ひときわ端麗な私の夫は、軽の道から畝傍山を見ながら紀伊街道に足を踏み入れ、真上山を越えてもう山向かうの紀伊に入っただろうが、その夫は、黄葉の葉の散り乱れる風景を眺めながら、朝夕馴れ親しんだ私のことなどまるで考えもせず、旅をいいものだと思っているだろう、そんなあなただとうすうす感づいてはいるけれど、そのまま黙って待っている気にもなれないので、あなたの旅の道筋どおりに後を追いたいとは何度思うか知れないか、か弱い女の身だから、関所の役人に尋ねられたらどう答えようか、躓きよろめいてためらうばかりだ」

書き出し文

「大君の 行幸のまにま もののふの 八十伴の男と 出で行きし 愛(うるは)し夫(づま)は 天飛ぶや 軽の路より 玉たすき 畝傍を見つつ あさもよし 紀伊道に入り立ち 真土山 越ゆらむ君は 黄葉の 散り飛ぶ見つつ にきびにし 我れは思はず 草枕 旅をよろしと 思ひつつ 君はあるらむと あそそには かつは知れども しかすがに 黙もえあらねば 我が背子が 行きのまにまに 追はむとは 千たび思へど たわや女の 我が身にしあれば 道守の 問はむ答を 言ひやらむ すべを知らにと 立ちてつまづく」

旅中の解放感による夫の移り気を案ずる心をおしはかりながら女の立場で述べた歌。

544番歌

訳文

「後に残って離れ離れにいる恋しさに苦しむよりは、いっそご旅行中の紀伊の国にある妹背の山にでもなって、いつもおそばにいたいものだ」

書き出し文

「後れ居て 恋ひつつあらずは 紀伊の国の 妹背の山に あらましものを」

妹背の山:夫婦帯同するさまの譬喩。

545番歌

訳文

「あの人の通られた跡を追い求めて行ったならば、紀伊の関所の番人が咎めて留めてしまうだろうか」

書き出し文

「我が背子が 跡踏み求め 追ひ行かば 紀伊の関守い 留めてむかも」

引用した本です。

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今朝は良い天気です。

周りの雪もかなり少なくなりました。

昨日までに読み終えた本です。

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イマドキの教科書の最新事情を知り、「かなり変わりましたね」というのが実感です。

孫との話にも考慮しなくては。

ただ、萬葉集には触れられていないな。

万葉集はどのように教えられているのだろう。

では、今日はこの辺で。