341.巻四・514、515、516:安倍郎女が歌一首、中臣朝臣東人が安倍郎女に贈る歌一首と安倍郎女が答ふる歌一首
514番歌
訳文
「縫ってさし上げる、あなたのお着物の、針目にのこらず入ってしまったようです。糸ばかりか、私の心まで」
書き出し文
「我が背子が 著(け)せる衣の 針目おちず 入りにけらしも 我が心さへ」
著(け)せ:キルの敬語。見ル→メスと同じ。
次の歌と一連の贈歌と思われるか、別資料による収録だろうと。
515番歌
訳文
「あなたと離れて、ひとりで寝ていて、取れてしまった紐が不吉で、どうしたらよいか泣いております」
書き出し文
「ひとり寝て 絶えにし紐を ゆゆしみと 為むすべ知らに 音のみしぞ泣く」
前歌の「針目おちず」を承けた形になっている。
絶えにし紐を:恋人同士で紐を結び合い、次に逢った時に解きかわす習慣があった。その紐がひとりでに切れたのを、契りの絶える前兆と見たのである。
516番歌
訳文
「私の持っている三本縒(よ)りの強い糸で、しっかりその紐をつけておけばよかったのに。今となってはそれが残念です」
書き出し文
「我が持てる 三相(みつあい)によれる搓(よ)れる 糸もちて 付けてましもの 今ぞ悔しき」
前歌のからかいをまともに承けることによって、逆にからかっている歌。
引用した本です。
昨日は一日暖かい好い天気でした。
雪解けも進みました。
雪割草のある場所の雪割りを行いました。
今年咲いてくれるかな。
では、今日はこの辺で。