万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

297.巻三・410・411:大伴坂上郎女が橘の歌一首と和ふる歌一首

410番歌

訳文

「大事な橘をわが家の庭に植えて育てて、その間中立ったり座ったり気をもんだあげく、人に取られてのちに悔やんでも、なんのかいがありましょうか」

書き出し文

「橘を やどに植ゑ生(お)ほし 立ちて居て 後に悔ゆとも 験(しるし)あらめやも」

婚期をひかえた娘を持った母親の不安を寓した歌。

橘:わが娘を譬えた。

植ゑ生(お)ほし:子を育てることの譬喩。

後に:心理的には、娘を奪われて後に、の意。

411番歌:大伴宿禰駿河麻呂の作か。
訳文
「あなたのお庭の橘は、これ見よがしに植えてあるからには、実(みの)らせずにはおきません」
書き出し文
「我妹子が やどの橘 いと近く 植ゑてし故に ならずはやまじ」
娘に恋した男が、その母親に決意を示した歌。

我妹子:娘の母親、郎女をさす。

当ブログの97.↓「たちばな」に集中に詠まれている歌を紹介していますので、訪ねてみてください。

souenn32.hatenablog.jp

タチバナは、ミカンの古名で、実を主とする場合はタチバナ、花を主とする場合はハナタチバナというと、大和本草にも記載されているらしい。

集中、たちばな(橘花、橘、多知波奈、多知花)を詠んだ歌は七十二首あり、最初は巻二・125で、次いで179、巻三・410、411番歌と続きます。

万葉人に愛された花の一つであったのですね。

万葉人が愛したのは、橘の花色の純白と高い香気とによるのであろうが、現れている歌には、色をたたえている作もなく、その香を強調しているものもみえない。

玉の緒に貫いている歌や、ホトトギスと配して詠んでいる歌が多いようです。

引用した本です。

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今朝も積雪ゼロ、でも、昨日は午前に3㎝ほどの積雪があり、午後に久しぶりの雪かきでした。

それにしても寒さが緩みません。

では、今日はこの辺で。