万葉集の日記

楽しく学んだことの忘備録

291.巻三・401・402:大伴坂上郎女、族(うがら)を宴するする日に吟(うた)ふ歌一首と大伴宿禰駿河麻呂、即ち和(こた)ふる歌一首

吟(うた)ふ:節をつけて披露した歌。

401番歌

訳文

「山の番人がいたのも知らないで、その山にしるしを結んで、「結ひの恥」をしたことよ」

書き出し文

「山守の ありける知らに その山に 標結ひ立てて 結ひの恥しつ」

郎女が次女二嬢(おといらつめ)の婿として白羽の矢を立てた駿河麻呂にすでに女がいるのではないかと、暗にその反応をうかがった歌か。男性の立場で詠んだ歌を用いて、戯れに駿河麻呂を女性に見立てて歌いかけている。

山守:山を守る人の意で、本来は女の夫を譬えるのにふさわしい語であるが、ここでは駿河麻呂の愛人をさす。

結ひの恥:ここは、愛人のいる駿河麻呂に求婚したことに対する恥をいう。

大伴宿禰駿河麻呂、即ち和(こた)ふる歌一首

402番歌

訳文

「山の番人はあるいはいましょうとも、あなたが結んだしるしを人がとくなどということがありましょうか」

「かりに山番がいたって、坂上の刀自の張られたという標ですもの、誰も解く者はおりますまい」

書き出し文

「山守は けだしありとも 我妹子が 結ひけむ標を 人解かめやも」

前歌の山守を承けて続けた答歌で、坂上の刀自に逆らうひとなどいないと、わざと恐縮してみせたもの。

引用した本です。

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今朝は積雪ゼロですが、寒さは厳しいです。

厳しい分、晴れたようで、冷え込みました。

では、今日はこの辺で。