269.巻三・368・369:石上大夫が歌一首と和ふる歌一首
368番歌
訳文
「われわれは大船の舷に楫をたくさん取りつけ、恐れ多くもわが大君の仰せのままに磯から磯へと漕ぎ進んで行く」
書き出し文
「大船に 真楫しじ貫く 大君の 命畏み 磯廻(み)するかも」
右↑は、今案ふるに、石上朝臣乙麻呂、越前の国守に任けらゆ。けだしこの大夫か。
越前の国守:福井県北部・石川県南部
和ふる歌一首
369番歌
訳文
「お前たち,朝廷に仕える官人は、天皇の御命令のままに誰でもその意を体して従い服すべきものなのだぞ」
書き出し文
「もののふの 臣の壮士(おみのをとこ)は 任(ま)けのまにまに 聞くといふものぞ」
右↑は、作者いまだ審(つばひ)らかにあらず。ただし、笠朝臣金村が歌の中に出づ。
前歌に応じて官人乙麻呂の行為を賞揚し、同席の者をいましめた歌。
もののふの:文武百官をさす。
臣の壮士(おみのをとこ):臣下である壮年の男子
引用した本です。
今朝は小雨。
夜には冷え込み雪に変わるようです。
冬の雨は好きではないですね。
では、このへんで。